____幸せに暮らしてるかな?



確かに、山南に託した仕事は、けっして楽しいものではない



背負わせたリスクはかなり重い



しかし、せめて暮らしだけは幸せであって欲しいと願っていた







__コンコン


「かつた」



土方がドアを叩き、合言葉を唱えると、扉が開く



もちろんこの合言葉は言うまでもない



勝太____近藤の幼名だ



念のため何か合言葉を決めようとなったとき、近藤が自ら提案したものだ



この合言葉は近藤、土方、山崎、華蓮しか知らない



ゆえに、山南は誰が来たか予想がついており、開いた扉の奥で懐かしそうに微笑んでいた



「お久しぶりです、というべきですかね」



「山南さんっ…!!」



華蓮は会えた喜びで少し大きな声をあげてしまった



「しーっ
あまり騒いではもしかしたら誰かに聞かれてしまうかもしれませんよ

さあ、中にお入りなさい」



___しまった



一応つけられないようには来たつもりだが、今の新撰組は狙われていても仕方がない


そして、今いるのは世間では亡くなったとされている山南の隠れ家だ


こんなところで目立つ行動は避けなければいけなかった



「す、すみません」



一言謝り、足を踏み入れた





__っ!?



山崎は来たことがあるようで、表情ひとつ変えないが、華蓮と土方は驚いた



外見とは見違えるほど、内装が整えられていたのだ