カノジョの心 カレシの想い

「じゃぁ、行こうか」

　私にもう一度優しく笑いかけて、正和さんが促した。
　
　
「は、はい。
　美沙ちゃん。
　また明日ねっ」


　無言で立っているみんなを残して、私と正和さんは車に向かって歩き出した。







　静かに走り出した車。



　でも。

　私の心臓はちっとも静かじゃなくって、ドキドキとうるさい。
　　


　運転席の正和さんをチラリと見る。


「あ、あの･･････」

　信号待ちで停まったのを機に、おずおずと話しかけた。
　


「どうして、呼び捨てなんかしたんですか？」




　これまで2人きりの時でも、彼は『由美奈ちゃん』と呼んでいたのに。

　どうして？


　しかも、みんながいる前で。