「全然気がつかなかったです。
 ありがとうございました」

 ペコリと頭を下げる。



「どういたしまして。
 早く帰るんだよ」

 そう言って三山さんは私に手を振り、事務所に入って行った。











 廊下にぽつんと立っている私。




 三山さんに触れられたところが、妙に熱い。

 彼の手は驚くほど冷たかったのに。




―――なんだろう、この感じ・・・・・・。




 私はしばらくその場から動けなかった。