千尋はキッと鋭い視線を私に向けると、
「恋愛オンチのナナ先輩にはわからないんですよ!!!!
寛貴先輩はわたしが初めて本気で好きになった人なんです!!!!勝手なこと言わないでください!!!!」
声を荒げ、吐き捨てるように言うと、店を後にした。
[恋は盲目』とは言うけれど、今の千尋には何を言っても暖簾に腕押し、馬の耳に念仏といったところ。
恋愛オンチ……
自分でもわかってはいるけれど、その言葉、
「うぅっ……」
かなりグサッとくるんだよね。
脱力し、テーブルに突っ伏した。
「はぁーっ、どうしたもんだかね……」
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