閉会式が始まるまでの間、お手洗いを口実にチームから離れた。


別に行きたかったわけではない。


少しの間でいい、


ひとりになりたかった。


試合会場の外で人気のない場所を見つけ、ゆっくり腰を下ろした。


真っ青な空を見上げ、入道雲のまぶしさに視線を逸らすと、コンクリートにポツポツと水滴が落ちた。


こんなにいい天気なのに、


雨なんて降っていないのに……


どうして?


水滴はコンクリートの熱で落ちては乾き、落ちては乾きを繰り返す。


バサッ!


スポーツタオルが乱暴に頭に被せられ、視界が遮断された。


「本当は悔しいんだろ?誰も見てないから思う存分泣けばいい」


ケイの声が聞こえた。


ケイはわたしの隣に腰を下ろすと、タオル越しに頭を撫でた。


その手の温かさに、抑えていたものが一気に溢れ出した。



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