あの事件の後、わたしは多くの人に救われた。
でも、彼女はわたし以上に傷ついているように思えてならない。
恐らく原因はわたし。
あの大きなマスクは折れた歯を隠すためのもの。
あれだけの仕打ちをしたのだから当然だという人もいたけれど、それでは彼女が救われない。
「どうしたものか……」
全ての答えは試合が終わったら出る。
気持ちを切り替え、練習に臨んだ。
夜になってお兄ちゃんに電話をした。
『いよいよ明日からだな。どうだ?調子は』
「うん、まぁまぁってところかな。実戦は久しぶりだからちょっと緊張しているかも」
お兄ちゃんはクスッと笑うと、
『予選落ちなんてしたら承知しないからな。決勝まで勝ち残ったら観に行ってやる』
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