「ナナちゃん、ごめん!


千鶴から聞いた。アイツ誤解してナナちゃん殴ったって……本当にごめん!!!!」


勢いよく頭を下げるケイくんに、


「ううん、誤解は解けたんだし、ちょっと睡眠不足でふらっときただけだから大丈夫。

私の方こそ心配かけちゃってごめん、すぐ元気になるから」


ケイくんを安心させたくて、ベッドから立ち上がって見せたけど、


ふらっ……


まだ平衡感覚が戻っていなかったようで、大きく体が揺れた。


「危ないっ!!!!」


倒れ込む寸前のところでケイくんに受け止められ、そのまま彼の胸に顔を埋める形に……。


「ご、ごめん!!!!」


慌てて体を離そうとしたけれど、


「……ッ!」


ケイくんに引き寄せられた。


予想外の出来事に、頭の中は真っ白で、


天才セッターと言われた頭脳も、彼の前ではその効果を発揮することはできなかった。



.