千鶴さんとのことは誤解とはいえ、電話もメールも着信拒否にしちゃったから、まずそのことを謝らなければ。


ケイくんを見て、


「「あの…」」


わ、ハモった!


「ナ、ナナちゃん、先に……」

「ど、どうぞ、ケイくんから…」

「ううん、レディファーストでナナちゃんから」

「いえいえ、ジェンダーフリーでケイくんから」


何度譲り合ってもなかなか応じないわたしとケイくん、


これが千鶴さんだったら怒り出すんだろうなぁと思ったら、


「やっぱり僕からでいい?」


ケイくんが真剣な眼差しをわたしに向けた。


ドクンッ!


ケイくんにも聞こえそうなくらい大きく拍動を繰り返す心臓。


頬が熱い……


やっぱりわたし、


ケイくん好きだ。



.