「でも、ごちそう作る前に連絡が来て良かったわ。ナナのいないバースデーパーティーなんてできないもの。

せっかくのお誕生日に入院だなんて……勉強してくれるのは親として嬉しいことよ。だけど、体を壊しては元も子もないじゃないの。

お父さんもお母さんも、ナナが元気でいてくれることが一番なんだから」


お母さんからいつになく優しい言葉をかけられ、大雨が降るのではないかと窓の外を見ていると、


「いけない!天気予報で今夜雷雨って言ってたわよね?慌てて来たから洗濯物出しっ放しだわ。

ナナも元気そうだし、お父さん、降ってこないうちに帰りましょ」


そう言うと、そそくさと病室を後にした。


夕食が終わって、消灯までまだまだ時間があったけれど、睡眠不足が祟り、うつらうつらしていると、


コンコン!


病室のドアをノックする音が聞こえた。


お兄ちゃん?


それとも、美鶴代先生?



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