あの時のことは覚えていない。
ううん、思い出したくないだけなのかも。
気がついたら病院のベッドの上で、
お兄ちゃんからの報せで駆けつけたお父さんとお母さんを見て号泣した。
今まで抑えていた全ての感情が一気に溢れ出して涙が止まらなかった。
「ひどい……ひどすぎる!彼女達にバレーをする資格なんてない、最低よ!!!!
可哀想にナナさん、海翔も辛かったわね……」
千鶴さんの怒りを含んだ声が聞こえた。
「千鶴の言うとおり、アイツらにバレーをやる資格なんてない。
沙世達のナナへの仕打ちが明らかになったが、事件発覚を恐れた学校側は事件をもみ消し、監督はお咎めなし、沙世達レギュラーはそのまま地区大会に出場。
ナナのいないチームは全国大会出場を逃し、その後部員達は夏休み中自宅謹慎。
そんな甘い処分に学校への不信感を募らせた親父とお袋がナナを北相に編入させた。
ここでならナナのやりたいバレーができると思ったから……でも、ナナはバレーを辞めた。
こんなことなら、無理に明東ではなくて始めから北相に行かせておけば良かった。今さら悔やんでも手遅れだけどな」
.


