彼女がなぜこんなことを言うのかはわかっている。


秋元キャプテンのポジションはセッター。


監督はチームを2セッター体制にすることを考え、私を正セッターに、長身で攻撃力もあるキャプテンをサブにすることで、隙のないチーム作りを目指したのだが、


キャプテンを始めとしたレギュラー選手がその構想を拒否。


攻撃力のあるセッターは良しとしても、わたしが正セッターになることが許せないという。


「キャプテンは自分のプライドよりも、チームを第一に考えるもの」


お兄ちゃんが言っていた。


「セッターはアタッカーに気持ち良くスパイクを打たせてなんぼのものなの。


スパイクミスはセッターのせいと罪を被るくらいじゃないと務まらないわよ」


坂尾さんに教えてもらったけれど、


秋元キャプテンの言葉で、わたしとは真逆の世界にいる人だということがわかった。



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