オリンピックに出場してメダルを獲ること。


そのためには何としてでも最終メンバーに残りたい。


この時のわたしは、本当の敵が海外ではなく学校内にいることに気づいていなかった。


わたしのバレー部加入は、学校側としては喜ばしいものだったが、先輩達には歓迎されてはいなかった。


「福山さんて、お兄さんはあんなにデカいのに、あなたはチビなのね。

いいところはお兄さんに持っていかれて、あなたは出がらしの妹ってところかしら?」


なんて、感情を逆撫でるように言うのは、3年生の秋元沙世子(アキモト サヨコ)キャプテン。


その言葉にクスクス笑う2、3年生の先輩達。


『デカい』じゃなくて、せめて『大きい』とか言って欲しいよ。


わたしにはそう言っておきながら昨日なんて、体育館で自主練していたお兄ちゃんにキャプテンは、


「海翔先輩って身長高くて素敵ですね!!!!」


なんて、甘ったるい声出してすり寄っているんだから正直いい気持ちはしない。



.