「う、ん……」
目を開けると、見えるのは真っ白な世界。
といっても雪国ではなく、天井も壁も白一色の無機質な部屋。
腕に違和感を覚え、目をやると、繋がれた点滴から滴(しずく)がゆっくりと落ちる様子に、
ここが病院だということが理解できた。
昇降口で美帆から勝手にチームに入れられたことに腹が立って、
校門まで来たらケイくんの彼女・モデルの千鶴さんに殴られて、詰られているうちに、昔のことを思い出して……
そこからの記憶がない。
「頭痛い……」
昔、お世話になった研修医の女医さんが言っていた。
頭痛は睡眠不足でも起きると。
今回は、睡眠時間削って勉強したからな。
ケイくんとお兄ちゃん、
何かしていないと思い出してしまうから、勉強に逃げたといった方が正しいのかもしれない。
わたしだって好きで勉強しているわけじゃない。
単に弱いだけなんだ。
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