「ナナは小さいし、どんなボールが来ても正確なパスが出せるからリベロもいいが、セッターに向いているかもな」


これが転機だった。


お兄ちゃんの何気ない一言がわたしのバレー観を変えた。


本当はお兄ちゃんみたいにエースアタッカーになってスパイクを決められるようになりたかった。


いつかはお兄ちゃんみたいに背が伸びるだろう。


そうしたらもっと決定率が高くなる。


という期待も虚しく背は伸びなかった……。


でも、160センチ台のアタッカーが通用するのは中学まで、


世界レベルを考えたら、長身選手との高さでの勝負は火を見るよりも明らかだ。


スパイクが打てなくても、チームが勝てば同じこと。


小さな体でチームを支えるリベロやセッターも悪くないと思った。


この頃から何度もレシーブを受け、トスを上げる練習を繰り返した。



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