小学6年の夏、中学3年になったお兄ちゃんは全国大会で優勝し、中学生では異例の全日本メンバーに選ばれた。


バレーボール界期待の新星ともてはやされても、お兄ちゃんは驕ることなく、ふたりだけの練習は続けられた。


わたしもお兄ちゃんのようになりたい。


ううん、なってみせる。


お兄ちゃんを目標に追いかけ続けた。


お兄ちゃんは中学を卒業すると、バレーの強豪校、北相高校に入学。


入れ替わりで中学に入学したわたしは迷うことなくバレー部に入部。


初めてのチームプレーに戸惑いながらも、お兄ちゃんとの練習の成果を思う存分発揮し、


「さすが、福山海翔の妹」と周囲を驚かせた。


お兄ちゃん同様1年でレギュラーに選ばれ、夏の大会では、サブアタッカーとして、地区大会準優勝に貢献。


でも、


わたしは満足できなくて……


足りないものは何だったのかを模索した。



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