「お兄ちゃん、気にしすぎ。わたしはもう何とも思ってないよ。
でもさ、仮にわたしがバレー復帰したとして、誰が継ぐの?福山歯科医院。
お兄ちゃん、歯を削る機械の音、苦手でしょ?だったらわたしが継ぐしかないじゃないの!!!?」
この言葉は、お兄ちゃんにとって一番ダメージを与えられる。
お兄ちゃんは額に手を当てると、
「お前にそれ言われると、俺、立場ねぇよ……」
大きくため息を吐き、しゃがみ込んだ。
「だけど、バレーやってる時のお前、今でもすげぇいい顔してる。
俺がナナに復帰してもらいたかった本当の理由……
全日本なんてどうだっていいんだ。ナナの心からの笑顔が見たかった…ただそれだけ。
あとひとつだけ俺からのお願い。
夏休みに入ったら全日本の合宿、見に来てくれ。坂尾さんと堀さんが会いたがっている。
受験勉強で忙しいかもしれないが、ふたりにお前の顔、見せてやって欲しい。
俺も今日はこれ以上はもう言わない、さ、帰るぞ!家まで競争だ!!!!」
お兄ちゃんはさっさと片づけを済ませると、ダッシュで体育館の出口に向かった。
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