「俺はまだあきらめてないからな。
俺だけじゃない、速水監督に坂尾さんだって……
全日本メンバーみんな、お前が戻って来るのを待っているんだ」
いつにない真剣な眼差しでお兄ちゃんが言った。
だけど、
「無理だよ、2年もブランクあるんだよ。わたしのバレーはもう……」
わかるよ。
世界レベルには到底及ばないってことくらい。
「大丈夫、基礎体力は衰えてない。ハッピーとの散歩も侮れないな。
オリンピックまでまだ時間がある。お前がその気になればブランクなんてすぐに取り戻せる。
それと、坂尾さんが代表引退することになった。お前を後継者として育てたいと言っている」
えっ……
「坂尾さんが……?」
坂尾さんは、全日本の正セッターで、わたしの憧れであり、目標にしていた選手。
銅メダルの立役者だった坂尾さんが……
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