「まさか‥‥ないわけ‥‥?」 びくっ。 肩を少しだけあげて、俯く。 佐野はきっと、嫌な目つきで私を見ているのだろう。 恐る恐る、佐野の顔を伺う。 けど、そこにあったのは、ひどく傷ついたような、悲しげな佐野の顔だった。 「佐野‥‥?」 「もういい‥‥。」 ふいっと、そっぽを向いてそのまま席についてしまった。 (‥‥佐野。) なんだか心が痛くて、その日の授業は身が入らなかった。