「これ、どこから入ってきたんだか。後から調べてみるけど、本当に最悪だ。三葉の部屋だけじゃなく、俺の家まで特定して入るなんて。嫌だね、本当に。細かく刻んだ後、公衆トイレにでも流してくるよ。こんなゴミ、いつまでも置いときたくないからね」
ころころと変わる顔と声色。私の前ではいつもの優しい彼なのに、ふとした瞬間、顔が剥がれるように別人のそれとなる。
ーーそうだ、別人のように。
「三葉?大丈夫か?ああ、そうか。三葉はこいつが、君の部屋に入ったことをまだ知らないから。あの日ーーあれが喫茶店で、俺たちと接触した後に、君の部屋に入ったみたいだ。部屋にカメラつけておいたからね。ただ、気付くのが遅れた。目の前に三葉がいるから、君の部屋に気を配っていなかった。後から確認して知ったんだ。やっぱり、君は一人でいるのは危ないって」
別人。別人なのに、いつもの優しい彼が訴えかける。おおよそ、理解しがたい言葉を並べながら。
「本当は、君が大学を卒業するまで待つつもりだった。でも、ダメだ。あんなのに付きまとわれて……。怖いんだ、不安だったんだ。君が傷つく前に守らなきゃと思って、必死で……!」
違う。彼じゃない。彼なのに、違う。
こんなことしない。あんなこともしない。
なのに、泣きそうなまで私を一途に思って、この人はーー
「あれが入った部屋に君を戻すわけには行かない。だから、強引だったけど、無理やりここまで連れてきた。具合悪くはない?医者から処方された薬だから、副作用はないと思うけど。よく眠って(効いて)いたようだから」
何を、話して、いる、のーー


