「ごめんなさい、私が、わたしのせいで、ごめんなさい」
「三葉……」
私の涙で水打ったように、彼が言葉を無くす。
「こんな目にあわせて、宮本さんの言うとおりに、警察でも行けば、警戒もしていれば。私、大丈夫だって。そんなことない、のに、わたし……」
嫌われても仕方がない。
こんな時に思うことじゃないのに、宮本さんに嫌われたと思ったら、涙が流れた。
愛してもらえない。
助かったとしても、宮本さんが離れていってしまうと。
「三葉、大丈夫だよ」
涙を止める一言は、彼の口から。
大丈夫だ、の言葉に相応しい顔。
頬は青く、口から血を流し、顔中に黒い線を彫られたような惨状なのに、彼は言う。
「大丈夫」
それは、もうしかしたら、『俺は大丈夫だから、先に逃げて』の意味だったのかもしれない。
しかして、それよりも、彼と離れ離れになってしまうと思う私にとっては、別の意味に聞こえてしまった。
『大丈夫、これからも一緒だ』
答え合わせはしない。
きっとそうだと、思い込みたかった。
彼とここから、逃げて、また一緒に。


