普通の時の詩織だったらここで平手打ち一発くらいかます所だが今は通常時の頭には戻れない。
おばあちゃんが最後にくれたあのキーホルダーは自分を生かしてくれた。
逆に言えばあれがなきゃ生きていけない。
自分にだって少しの逃げ場が欲しい。
まさにあのキーホルダーが逃げ場だった。
悩んだ末に詩織が出した答えは.........
「分かりました」
「えっ、本当にいいのか?」
目を見開く千堂。
「なんですか?
怖じ気付いたんですか?
ならキーホルダー...」
予想外な反応に少しイラっとした詩織は千堂が持つキーホルダーに手を伸ばす。
「いやっ何でもない」
その手を叩きそっぽを向く千堂。
叩かれた手の甲をさすりながらそっぽを向く千堂の横顔を一瞥する。
自分から脅してきたくせに『本当にいいのか?』なんて聞いてくる。
良い人なのか悪い人なのか分からない。
分かってることは一つ。
意味が分からない人、ぐらいだ。