真ノ花と嘘ノ花




(優しい・・・。)


彼女もわかっている。


百合が嘘をついていないことぐらい。


後ろから聞こえてくる声。


「佐野さんそんなことしないでしょー。」


「佐野さん、顔に出るじゃん?嘘付いた時とか、挙動不振じゃない?あの時まじうけた。」


さぁ、彼女が言うあの時とは、


中1の夏。


皆にクッキーを焼いてきたのだ。


クラスにとても馴染んでいた。


その時、クッキーを皆に配るのだが、配るのが恥ずかしいから、机の中に入れた。


皆が気付いて、百合に声をかけた。


すると百合は


「え?わ、私っ!そ、そ、そんなの作れるほどき、き、器用じゃ、ないよっ!」


顔は真っ赤で、皆気付いていたが、百合の友達が百合にはきづかれちゃダメ、みたいな。


百合と母校が一緒ならわかっている。