私は家に帰り、親戚の帰っていない家で、慎に抱きしめてもらっていた。




「ねぇ、慎」

「何だ?」

「私、復讐して良いのかな…」

「雫はしたいと思っているのか?」

「わからない…。
だけど、このまま行けば、幸来ちんに復讐することになりそうなの」

「幸来ちん先輩にか……」

「幸来ちんは私の大事な親友なの。
幸来ちんを傷つけたくはないわ」

「じゃあ、ニコっぺに復讐するか?」

「駄目だわ。
幸来ちんはきっと、ニコっぺに惹かれてきているもの。
ニコっぺに復讐したら、きっと幸来ちんが哀しむわ。
幸来ちんが哀しむの、私は見たくないの」

「…出ているじゃん、答え」

「え…?」

「雫は、自分の復讐より、幸来ちん先輩の幸せを取っているじゃねーか。
幸来ちん先輩が哀しむ顔を見たくなかったら、復讐しちゃ駄目だ」




そうだ。

答えは、とっくのとうに出ていた。

私は、復讐より、幸来の笑顔を取ったんだ。




「慎ッ……」

「許してやれ、ニコっぺのことを。
きっとニコっぺも、悔やんでいるんだ」




数日後。

早乙女くんが、幸来に全てを話したことを聞いた。





本当、幸来は凄いよ。

どんな過去でも受け止めたんだから。




幸来。

早乙女くん。

これからも、幸せでいてね。





【END】