ラーメンを買っている早乙女くんを見ていると。
ふと、右手首に目が行った。
その途端、あの屋上で見た光景が浮かぶ。
あの時切っていた傷は、治ったのかしら?
私は怪しまれないように、右手首を見た。
…あった。
ブレザーの袖で上手く隠れてはいるけど。
真っ白な包帯が、見えた。
所々に、血が滲んでいた。
今では切っているのかしら?
万引きはしているのかしら?
てかどうして、この街に?
愛人がいるって言うご両親とは、和解したのかしら?
早乙女くんに対して、様々な疑問がわく。
幸来の隣に越してきたのよね。
確か前に幸来に聞いたけど、幸来の住むマンションは、買う人と借りる人、両方が住んでいる。
幸来の家は買ったみたいだけど。
早乙女くんの家は、買ったのかしら?
「それでは」
「…あ、うん」
ラーメンの乗ったお盆を持ちながら、早乙女くんは帰る。
入れ違うように、慎がやってきた。
私は冷めても食べられるカツサンドを頼んだ。


