私は内心溜息をつきながら、幸来に早乙女二瑚に彼女がいることを伝えた。
すると幸来は、見るからに動揺し始めた。
でも、本人は何でもない、という。
そして移動教室へ向かう幸来を追いかけた。
幸来?
早乙女二瑚に恋したの?
駄目だよ。
私、幸来には復讐したくないよ。
幸来は私の大事な親友なんだよ。
早乙女二瑚のこと、好きになっちゃ駄目。
でも、幸来が本気で早乙女二瑚を好きになったら。
私は幸来へ復讐することになる。
そんなのは嫌だ。
だからと言って、幸来に早乙女二瑚を好きになるななんて言えない。
私があのスーパーの店長の娘だとバレてしまうから。
また、早乙女くんが自分を傷つけるかもしれないから。
その時に。
幸来がもし、早乙女二瑚を好きになっていたら。
きっと誰よりも優しい幸来は哀しむ。
幸来は大事な親友だから、哀しむ姿は見たくない。
どうすれば良い?
私、復讐して、良いのかな……?
私は慎と早乙女くんが仲良くなったのを知った。
慎は本当に優しい、自慢の彼氏だ。
ニヤニヤしたい気持ちを抑え、私は慎と同じ食堂へ行くことにした。
お弁当はあるけどない、と幸来に嘘をつき、食堂へ向かった。


