高校に進学するまでの間、私は中学へ通うことはなかった。
前の学校から転校し、別の中学に入ったものの、まともに通うことは出来なかった。
私は前の街に2時間ほどかけて戻り、病院へ通っていたのだ。
パパを失い、慎に出会えたけど、私はまだパパを失ったショックから立ち直れていなくて。
精神科へ通うことが多くなっていた。
入院することがなく、通院で収まっているのは。
きっと慎の存在があるからだろう。
慎がどんな私でも愛してくれているから。
私が完全に壊れることがないのは、慎のお蔭だった。
私は両手沢山に薬をもらい、屋上へ寄った。
病院は街で1番大きい病院で、屋上から街を見渡すことが出来るから。
病院帰りには屋上へ通うことが、私の日課になっていた。
屋上には、1人の少年がいた。
後姿で、顔は見えなかったけど。
―――あの日。
パパが自殺した日に倒れていた少年と、同じ柔らかそうな黒髪をしていた。
早乙女、二瑚だ。
私は思わずその場に座りこんだ。
……だけど、早乙女二瑚の様子が可笑しい。
微動だにせず、ただ真っ直ぐと街を見つめていた。
今にも消えていしまいそうな儚げな光景に、私は目を奪われた。
何があったのだろうか?
何故万引きなんて行為に走ってしまったのだろうか?
どうして綿貫沙羅に出会ってしまったのだろうか?
私は“早乙女二瑚”に興味を持ち始めていた。


