そして万引き犯は捕まることなく。
スーパーは閉店し、パパは自殺した。
【ごめん、雫】と書かれた手紙を残して。
「いやああああっ!」
パパが首つり自殺をした店内に向かって、あたしは叫んだ。
駆けつけてくれた親戚や、木原さんや斎藤さんを初めとする店員さんに囲まれながら、あたしは小さな子どものように泣きじゃくった。
ママが亡くなってから、男手ひとつで育ててくれたパパ。
忙しくても、休日には必ず一緒にいてくれたパパ。
あたしはパパが大好きだったのに。
許せなかった。
万引き犯が、許せなかった。
綿貫沙羅はこの間自殺したと、警察から聞いた。
だから綿貫沙羅には何も出来ない。
するとしたら、綿貫沙羅が逮捕された後現れた万引き犯だ。
誰かわからないけど、いつか必ず見つけて、パパの敵をうってやる。
私はそう誓った。
「うわあああああああっ!!!!」
突然、空間を切り裂くような、鋭い悲鳴が響いた。
思わず顔を上げ、野次馬の方向を見た。
野次馬の人に囲まれて倒れている、1人の少年。
私は立ち上がり、少年の元へ行った。


