外面の良い、二重人格の二瑚は、校内では敬語を使い、あたしのことも先輩と呼んでいる。

だから誰も、二瑚が毒舌で生意気だということは知らない。

あたしが二瑚を陰で好きでいる女子に勝てる、唯一のことだ。




二瑚。

二瑚。

あたし、二瑚の彼女だよ。

あたしの前だけは、素顔を見せてよ。

あたしのこと、何で冷たくするの?





「はぁー…」

「どうしたんだね?上野幸来クン」

「雫(しずく)……」




あたしの親友・内山(うちやま)雫。

二瑚と同い年の弟がいる。

そして、その弟と付き合っている。

血が繋がっていないから、付き合っても良いみたい。




「私で良ければ話聞くよ?」

「……ここじゃ話せない」

「じゃあ、お昼今日一緒に食べよう?
その時に話聞いてあげる」

「ありがとう…雫」




あたしはスマホを取り出し、二瑚にお昼についてメールした。

二瑚と一緒にお昼を食べているからね。




「よし!
じゃあ次の授業も頑張ろう?」

「うん!」



雫が親友で、良かった。

あたしは心から、そう思うんだ。