「に、二瑚―――ッ!?」
「幸来先輩うるさいです。
皆見ていますよ?」
「今更後輩面しないでくれる!?」
「ん?
幸来にはいつもの俺でいてほしーわけ?」
ちゅっ、と静かにリップ音を立てながら額にキスをする二瑚。
あたしは額を押さえた。
「幸来」
「何?」
「俺は年下だから、幸来がいつも教室で何しているかとか、どんな奴と仲良いとかわからねーけど」
「うん」
「浮気とか、ぜってーするなよ。
そうしたら幸来のこと、二度と立ち直れなくなるぐらいにまで、心をへし折ってやるから、覚悟しておけ」
「心配ご無用ですー。
あたしは二瑚以外の男は興味ないから。
そう言う二瑚こそ、あたし以外の女に手ぇ出さないでね」
「それは難しいな。
さっきも言ったけど、俺ほど顔が良いと、嫌でも女が寄ってくるんだよな。
中には幸来より可愛い女とか美人な女とかいるからな……」
顎に手を添え、考え込む二瑚。
あたしの目に、どんどん涙が溜まっていく。
「……なんて、言うと思ったか?」
「は?」
「幸来以外の女なんて興味ねーよ。
俺は幸来のこと、世界で1番愛してっから」
「……二瑚………。
うわあああああああんっ!!」
「うわうるせぇ!
近所迷惑だろうが!ドアホ!!」
あたしが好きになったのは。
毒舌で。
生意気で。
嘘ばかりついて、あたしを騙す
年下男子。
だけど。
凄く優しいんです。
だからあたしは、
これからも、
生意気毒舌年下男子と付き合って生きたいんだ。
【END】


