しかし女子生徒が見えなくなると、二瑚は溜息をついた。
「どうしたの二瑚」
珍しい、溜息をつくなんて。
溜息をつくことはしょっちゅうなんだけど、女子生徒に会った時に溜息をつくなんて、珍しい。
あたし以外には優しい二瑚なのに。
「いや。
俺、アイツら誰だか知らねーんだよな」
「え?
知らない子に挨拶しているの?」
「ああ。
俺ほど顔が良いと、ああいう連中がいるから困るんだよな。
俺は幸来だけいれば良いんだけど」
「え?」
何だか今、ナルシスト発言にまじって、赤面間違いなしの台詞を吐かれたような……。
すると二瑚は、あたしの手を繋いだ。
「に、二瑚!?」
「何で驚いているんだ?
別に俺らは付き合っているんだし、もっと堂々とすれば良いじゃねーかよ」
「そ、それはそうだけど……」
何でだろう?
今日、二瑚やけに積極的じゃない?
しかも何だか、すっきりした笑顔だし。
肩の荷がおりたって感じの、吹っ切れたような笑顔。
かっこいいんだけど、どうしたんだろう?


