木目のように走る傷痕と、いまだ消えていない血が、痛々しい。
「二瑚…良いの?」
「ああ。
これを巻かれた時、言われたんだ。
大事にしたい人が現れた時に外しなさいって。
幸来。
俺の大事な人に、なってくれるか?」
今にも泣きそうなほど潤んでいる瞳だけど、二瑚はすっきりとした笑みを浮かべていた。
「あたしで良いの……?」
「あたしで、じゃない。
幸来が良いんだ」
あたしの涙腺は、また崩壊した。
そして、二瑚に抱きついた。
「幸来、やめろ!
俺の理性が飛ぶ……」
慌てたような二瑚の声が可愛くて、あたしはますます二瑚を抱きしめた。
そして一瞬離れ、あたしは二瑚の唇に、自分のを重ねた。
「幸来ッ……」
「二瑚は、あたしの大事な人だよ。
あたしが、二瑚の傷を、癒すからね」
そしてあたしは、二瑚の右手首にもキスをした。
二瑚が転校してくる以前に切ったものだから、血の独特の味はしなかった。


