「トラウマ……?」
「幸来は経験したことないだろうな。
まぁ、普通は経験しない。
俺は普通じゃないから、経験した」
何故か潤んだ瞳を見て、あたしは思いだした。
前に二瑚が自分の過去に着いて話した時に、聞いたことを。
「もしかして、鏡花さん絡み…?」
「…………ああ」
こくん、と二瑚は頷いた。
そして、テーブルの上で組んでいた腕をほどいた。
右手首に、左手が添えられた。
…きっと、無意識なんだろう。
「鏡花さんは何故か、俺がナポリタン好きなこと知っていてな。
作ってくれたことがあったんだ。
だけど、中には…裁縫針がはいっていた」
「…………」
「それ以来、俺はまともに食べれなくなったんだ。
ナポリタンだけじゃなく、グラタンも同じだ」
「二瑚……」
「無意識のうちに、今でも目の前に何か出されると、確認したくなるんだ。
外であっても幸来が作ったものでも、例外じゃない」
いつもは見ていなかったけど。
お母さんが作る夜ご飯も、もしかしてしているのかもしれない。
ご飯を食べることについて、警戒心が働いてしまっているんだ。


