「じゃ幸来(さら)。
後ろに乗れ」
「……嫌だ」
「早く乗れ。
遅刻すんだろ」
二瑚の綺麗な顔見ていて一瞬忘れたけど。
二瑚はとんでもないドS。
遅刻したあたしに、今から罰を与えようとしているんだ。
「良いから乗れ」
簡単にあたしの体を持ち上げた二瑚は、あたしを自転車の荷台に乗せた。
ちなみに自転車は、あたしの。
二瑚は自転車を持っていないから。
「……二瑚の後ろ、乗りたくない」
「我が儘言うな、行くぞ」
二瑚は乗る間際にニヤリと笑うと、ペダルを漕ぎ出した。
「嫌だ!やめて!
二瑚!もっとスピード……
きゃあああああああっ!!!」
近所の坂に、あたしの絶叫が響いた。


