続・生意気毒舌年下男子







ていうか一子(いちこ)さん、また帰って来ていないんだ。

もう、赤の他人であるあたしが言うのも何だけど。

一子さん、二瑚の親失格じゃない!?




一子さん、とは二瑚のお母さん。

かなり美人なんだけど、二瑚に関しては無関心で。

どこかのホテルで、お父さん公認の愛人と一緒に暮らしているとかで。

ちなみに、お父さん公認の愛人のことを、妾(めかけ)って言うんだって。




二瑚の家は、かなり複雑。

お母さんにも愛人…妾がいるし、お父さんにも鏡花さんっていう妾がいる。

一子さんは殆ど家に帰らないで、ホテルに入り浸っている。

お父さんは会ったことないけど、昼間は賭け事に出掛けて、夜は鏡花さんと過ごしている無職なんだって。




お父さんの妾、鏡花さんって人がまた厄介。

お母さんの帰ってこない二瑚に対してご飯を作ってくれるんだけど。

このご飯が、むやみに食べてはいけない。

中に裁縫針が数本入るから。

そのせいで二瑚は腹痛を起こしたって言うから、本当怖い。





一子さんが、二瑚にお昼ご飯と夜ご飯のお金を渡しているけど。

多分帰って来ていないんだ。




「……ッ」




あたしは走りながら、涙を拭った。