わたしはしばらく抱きしめられたままだった。
ほんとうは泣き顔を見たいと思ったけど、そんなことできないくらい強く抱きしめられていたから。
「…俺今世界で一番幸せかも」
少し照れたように、体を離した彼は言った。
「それはないね、」
「は?あるし。」
ふん、と鼻で笑うと顔をしかめて怒ったようだった。でもそれはないよ、だって……
「わたしが一番幸せだもの。」
だって、幸せで涙が出るなんて初めてだ。
このままずっと生きていたいって思ったのも初めて。
この人を手放したくないって思うのも、一生一緒にいたいと思うのも、生まれて初めてなの。
だからわたしが世界一番幸せに違いない。



