この気持ちは、気付かれない。



『ごめんね、いま大丈夫?』


高めの声が控えめに尋ねてくる。


「優衣…」


久しぶりの優衣の声に、心臓がぎゅっと縮まった思いがした。


「大丈夫よ、」

『よかった、久しぶりだね皐月ちゃん』

「うん…久しぶり。」


ふにゃりと笑った顔が想像できるような声に、優衣の顔が浮かぶ。なんの話だろう、このタイミングで?なにを言われるの、

心臓が不規則な音を立てた。


『あのね、皐月ちゃんにはちゃんと言っておかないとと思って…本当は直接言いたかったけど、そんな勇気はなくてごめんね…』


ああ、一気に声が硬くなった。優衣もわたした同じように緊張してるのか。


「…うん、わかった。聞くよ」


心の準備をする。なにを言われても受け止めるよ、


『…あのね、わたし、秋くんとちゃんと付き合うことにしたの。』

ゆっくりと、震える声でその言葉は紡がれた。
え、秋と…?


『…あの日からいろいろあったの…それで、この間ちゃんと返事が欲しいって言われてしまって……皐月ちゃん?』


名前を呼ばれてハッとする。

「き、聞いてる!」


ちゃんと話は聞いてる、ただちょっと理解するのに時間がかかっただけ…




『ずっとね、皐月ちゃんが泣いてたのが忘れられなかったの…秋くんのことが好きだったなんて全然知らなかったから驚いたし、全部諦めたような皐月ちゃんの顔も焼きついてて…なのに、秋くんと一緒にいるとすごく楽しかったの…皐月ちゃんに申し訳ないって思いながら、でもそれを忘れるくらい楽しかったの…ごめんね、ごめんね……』


震えていた声が、涙声に変わった。優衣、泣いてるの…?