この気持ちは、気付かれない。



山本くんは軽く手を上げて帰っていった。

車がいなくなるのを見送って、部屋に入る。

はあ、と短いため息をついた。



…なんのため息だろう。

安堵?落胆?わたしは何か期待していたの?いや、そんなはずはない。これは安堵だ。何事もなく帰っていったことへの、安堵。体のつながりなんて、無くなることを望んでいるじゃないか。…だから、そんなこと思ってない。彼があっさりと帰ってしまって寂しい、なんて。


「さび、しい…」


ああ、そうだ。声に出したら溢れてしまう。失敗した。ダメだった。どうして我慢できないの。そんなの、ああ…


靴をぬいで、そのままその場にしゃがみこんだ。


「寂しいよ…」






ひとりは寂しい。静かな部屋は嫌い。ひとりぼっちは、嫌…







わたしはひとりきりで、震える体をぎゅっと抱きしめた。