この気持ちは、気付かれない。




しばらく海で時間を過ごしてから、ちょっと遅いランチを食べた。話を聞けば、ここは地元と大学のちょうど真ん中あたりになるらしい。ここから彼の大学まで、車で2時間。


「色々どうしようもないとき1人で来るんだ。授業の後来たときなんかは帰るのが夜中になって真っ暗で結構怖い。」


はは、と笑いながら話してた。
彼にもどうしようもない時なんてあるのか。


「1人で来るの」

「そ。たまに誰とも喋りたくなくて誰にも会いたくなくなるときがあるんだ。そんなときに車だったりバイクだったりで来て海を眺めんだよ。夜の海はすげえよ、音しか聞こえなくて、どこを見ても真っ暗で、晴れてるときはものすごく星が綺麗でさ。雨の日もそれはそれですんげー落ち着くの。」


皐月も1人で来たらいいよ、といたずらっぽく笑った。わたしが車もバイクも乗れないの分かってて言ってるな…


「…山本くんもそんな時があるのね」


人と長い時間一緒にいると、疲れるんだそうだ。でもそれをうまく誤魔化しながら周囲に自分を同化させる。

そう聞いて正直ビックリした。わたしの中の山本くんのイメージはいつも人に囲まれてて、その中心にいるような人。そんな感じだ。

あれ、疲れてたんだ…。


「皐月がどう思ってんのかは知らないけど俺って結構暗いよ?腹黒いしね、」

「腹黒いのは、わかる…」


どうやらわたしたちは、少しだけ似ているらしい。