この気持ちは、気付かれない。




「ところで、なんでフランス?」

「…母さんが、フランス人だったの。」

「へ?」


今まで話したことは、なかった。
母親がすでに亡くなっていること以外、なにも聞かれなかったからなにも言ってないのだ。


「じゃあハーフ?」

「ううん、クォーター」

「…知らなかった」


彼はどおりで綺麗な顔してるわけだ、と一人納得したように呟いた。それに返事をすることはない。


「フランス語とか喋れんの?」

「…話しかけられれば、ね。自分一人では喋れないよ。」


兄貴がふざけてフランス語で話しかけてくるからそれに返すことはできる。日常会話とも言えないような、ふざけた言葉ばかりだ。


「英語は?皐月、めっちゃ英語の成績良かったよな?」

「…そんなこと覚えてるの?」


自分でもあんまり覚えていないのに。それに、英語ができるなんて話もしたことないはず…。


「や、だって順位表にもよく載ってたし。好きなやつのそーゆーのってやっぱ目につくじゃん」


何気なく言われた言葉にカッと顔が熱くなる。

こう、慣れてないからそういうことを言われるとやっぱり恥ずかしい。


うつむきながらちらっと山本くんを見ると、やっぱりこっちを見て笑っていた。くそ、笑われた…!


「英語もペラペラ?」

「…全然。」

「そーなん?」


話すのはあんまり得意じゃない。読み書きは教科書どおりに覚えただけだ。時間を裂けば誰でもできる。