この気持ちは、気付かれない。






飲み会も3次会になだれ込み、酔いはするけど潰れはしないわたしは、潰れてしまった女の子たちの介抱をしていた。


席の奥の方では翔子ともう一人の女の子と、オトコが何人かでなにやら盛り上がっている。


わたしはトイレに立ったのをキッカケに、そこから抜け出て介抱にまわったのだ。




「あたまいたい…」

「さきちゃん、水飲む?」

「飲む…。皐月ちゃん強すぎじゃない、の。」

「そんなに飲んでないからだよ、はい。気をつけてね。」




こうやって意識がある子はまだいい。

何人かはもう本気で寝ちゃってるし…。あーあ、どうするんだか。




しっかり水を飲んださきちゃんは、もう眠い、と言って他の子と同様に丸まって寝てしまった。


こりゃもう始発で起こすしかないな。

わたしも寝ちゃおうかな…。




「さーつき、介抱してくれてんの?」

「潤くん、」



トン、と飲んでいたものを持って私の隣に潤くんが座った。


彼は起きてたのか、気付いてなかった。



最初よりもかなり目がとろんとしていて、きっと彼も眠たいのだろうな、と思った。



「皐月は完全に酔いがさめた感じ?」

「んー?どうだろう。」

「にやにやしてないし。ちょっと眠そうだけど元気っぽいし。」

「そう?元気ではないけどね。」

「あーそうだわ。常に元気ではない。」

「それもどうなの、」



はは、と笑ってしまう。

常に元気ではないってわたしなんなんだ一体。



「ね、皐月って彼氏いんの?」

「ん?いないよ、」

「え、いねぇの?」




とろんとしている目が見開き、本気の驚いた表情を見せる。




「いないよー。いるように見える?」

「めっちゃ見える。普通にいると思ってたわ…。別れたばっかりとか?」

「いやいや、そんなんじゃないよ。」

「え、え、ちょっと待って。まさかずっといない?」

「そーだね。いないね。」





事実をたん、と述べる。彼氏がいたことなんて、ない。


……わたしはずっとずっと色んなものに縛られたままなんだろうか。