この気持ちは、気付かれない。




優衣は、案の定秋と一緒に家にやってきた。

一度だけしかきたことないのに、よく場所を覚えてたな〜と思う。


「コーヒーくらい出すよ、座ってて。」


狭い部屋に人間が4人。こんなに人がここにいるなんて初めてのことだ。カップは使ってないものを引っ張り出してやっと4つ揃った。



「皐月ちゃん、体調はどう?」

「もう平気。心配いらないよ。」


相変わらず透明な雰囲気に包まれてる優衣。

可愛い。だけどもう、昔みたいに愛でるだけではいられないのだ。



「……」

「……」

「……」

「……」



沈黙が、部屋を包む。誰も会話を切り出そうとしない重苦しい空気だ。

真っ黒な液体を見つめて、誰とも目を合わせようとしないのは、きっとわたしだけじゃない。



「…話を、しにきたの。」


やっぱり最初に口を開いたのは優衣だった。


「私は本当に皐月ちゃんのことが大好きだよ。皐月ちゃんの、本音を聞きたいの。」

「…わたしだって、本当に優衣のことが好きよ。」

「不満だって、あるでしょう?」


それは、優衣の方もわたしに不満があるということだろう。


「…何もかもを話してほしいなんて、言わない。言えないよ。本当は皐月ちゃんのことなら何でも知っていたいけど、皐月ちゃんは嫌がりそうだから。でも、聞いてもいい?」


おもむろに顔を上げれば、正面から優衣のまっすぐな目がこちらを見ていた。


「…いいよ。答える。」

「…皐月ちゃんと弘くんは、どういう関係なの?」

「……そりゃあ、気になるよね。」

「皐月、」

「山本くんは黙っててよ。話がややこしくなるから。」

「……」

「わたしと山本くんは、優衣に隠れて二人で会ってセックスしてた。セフレだよ。最低でしょう?……優衣になら、殴られたっていい。」

「…っ、お前ら!最低だな!優衣のことを好き好き言っててそれかよ、皐月!」

「……そう、だね。」


自分がどんな表情を浮かべているのか、わからない。

ただただ、心臓は泣きそうなほどに悲鳴を上げている。ごめんね、優衣。そして秋には、きっともう幻滅されて嫌われた。もともとわたしの印象なんてなかったのかもしれないけれど。



「っ、ちげえ!皐月は悪くなんかない!そんな関係を提案したのは俺だし、俺が皐月のことを好きなまま優衣と付き合ってたのが悪りぃんだよ!」

「はぁ?!てめぇ皐月に惚れてたのかよ!?」

「そうだよ!」

「じゃあなんで優衣と付き合ってんだよ!意味わかんねぇ!」


秋と山本くんが怒鳴り合っている。俯いているから、声が聞こえない優衣がどんな表情をしているのかわからない。


「ってか、皐月も弘に結局惚れてたんだろ。友達の彼氏に手ェ出すとかほんと最低だな。」

「…、」

「秋!」

「は?お前らほんとなんなわけ?二人ともまじで最低だから。」

「秋くん、いいから。」


唐突に聞こえてきた優衣の声は想像していたよりも乾いていた。