他にも帰国したら会うべき人がたくさんいる兄貴は、その日のうちに実家に帰っていった。
荷物を置くついでに顔を見せてくるらしい。
兄貴のおかげで寝起きの荒んだ心境が嘘のように穏やかになったわたしは、穏やかに眠った。
辛いことは、明日考えればいい。
次の日、目が覚めたのは朝の情報番組が終わる頃。スマホを見てみると優衣から連絡が来ていた。
“皐月ちゃんと、きちんと話がしたいの。私たち、きっといっぱい言ってないことがあるから、ちゃんとみんなで話がしたいと思ったの。皐月ちゃんの体調が良くなってからでいいから、連絡が欲しいです。待ってるね。”
“一つだけ勘違いしないでほしいことがあるんだけど、私は皐月ちゃんのことが本当に大好きなの。本当に、本当によ。”
そんな言葉が書かれていて、ちくちくと目の奥が痛くなった。
優衣は強い。どうしてこんなに強くてまっすぐでいれるんだろう。
わたしは嫌なことには目をつぶって、目をそらして、気付かないふりをしてきた。
なのに、優衣は全てを知ろうとしている。
わたしは、この強さにも惹かれてるんだろうか。
結局、明日の夜わたしたちはまた揃うことになった。
話すこと、話すべきだと思うことはたくさんある。だけどそれを言葉にしてしまって良いのだろうか。わたしは、わたしの言葉は他人を傷つけるかもしれない、のに。
夜眠る前には兄貴から電話がかかってきた。
時差ボケで夕方過ぎまで寝ていたらしく、夜中でも眠くないらしい。「添い寝しにいこーか?」なんていうふざけた申し出に笑いながら、いつの間にか寝ていた。申し訳ない。



