この気持ちは、気付かれない。




「Coucou.chère petite soeur.」

「…Ah, te voilà」

「なぁんだ、まだ喋れるんだ?」

「ぜんぜん、もうだめ。」



ぎゅ、と抱きつく。

昔よりも逞しくなった。見送った時に抱きしめてもらった時よりも腕も太いし、胸板も厚いし、いろんなところで包容力を身につけてきたらしい、うちの兄貴は。



「ただいま、皐月。一人にしてごめんね?」

「おかえり、なさい…おかえり。」



よしよし、と頭を撫でられる。

緊張の糸がプツリと切れたように、ぶわっと涙が溢れてきた。



「ぅ、…っ、っ、」

「泣かないでよ、皐月。俺が帰ってきて嬉しいんなら笑って?」

「…嬉しい、嬉しいよ。嬉しくて涙が出るのよ……」


こんなに安心する人はいない。

こんなにわたしを大事にしてくれる人はもう他にいない。



「う、うわあああああああ…」


最近は泣いてばかりだった。堪え切れない涙は何度も溢れた。

だけど、わたしは本当に久しぶりに声をあげて泣いた。

嬉しくて泣いたのはいつぶりだろう。初めてだろう。

いつだってわたしの涙は堪え切れなくて溢れてきた。



「よしよし、1人で、よく頑張ったね。」


誰よりも寂しがりやなのに1人にしてごめんね、なんて。優しすぎる言葉に、また涙があふれた。