この気持ちは、気付かれない。




「っ、優衣とは、別れる。」

「は…?」

「優衣を悲しませるとしても。俺はもう自分に嘘はつかない。ずっと黙ってたほうがきっと優衣を傷つけるから。」

「そんなの!優衣の気持ちはどうなるの?!」

「…優衣はきっと、わかってくれる。いや、もうわかってるかもしれない。」



へなへなと、足の力が抜ける。なんてことを言うの…?



「…優衣の気持ちを傷つけることかもしれない。だけど、このままの関係で、俺の気持ちはどうなる?」

「もう、黙って…」

「俺が傷付けたくないのは、皐月なんだ。皐月を守りたいんだよ。」


いや、いや、いや。聞きたくない。

どうして?優衣を傷つけたくないだけなのに。優衣に笑っていてほしいだけなのに。


どうしてこんな話になるの?



「…明日、また来るから。冷蔵庫の中にとりあえずおかゆあるから。食べろよ。…なんかあったら、呼んで。すぐ来る。」


放心状態のわたしを置いて、山本くんは出て行った。


わたしが冷静にならないといけないように、彼も冷静にならなきゃいけない。



わたしは何も考えられないまま、しばらくその場に座り込んでいた。