そんなわたしを絶望の淵からすくい上げたのが、兄貴だった。
6個年上の兄貴は、この時には16歳だったはずだ。
高校に入学して、楽しい盛りだったはず。
だけど彼は、わたしの世話で青春を潰したのだ。
毎日泣き暮れるわたしを慰め。
喉を通らない食事に工夫をし。
泣き疲れて眠るわたしをベッドに運んだ。
「皐月は一人じゃないよ。」
「俺が一緒にいるよ。」
「今日のご飯は皐月の好きなオムライス!」
「皐月、泣かないで?」
「寂しくって辛いのは、俺と半分こにしてあげる。」
数え切れないほどの言葉をわたしにくれて、恐ろしいくらいの時間をわたしに割いた。



