何を言ってるのかわかってない皐月を、そのまま自分の家に連れて帰った。
二人揃って早退。
体調が優れない皐月を送り届けるという名目だった。
ーーーその日初めて、皐月を抱いた。
想像よりもずっと細くて、抵抗する力も弱くて、普段は見えないところに痣や傷跡があるのを見つけて、心臓をぎゅっと掴まれたような気持ちになった。
怪我のことを尋ねても、何も答えはしなかった。
事後。無かったことにしてほしい、と言った皐月。
その弱さを見て余計に手放せなくなった俺が提案したのは、苦肉の策だった。
「俺は、皐月のこと優衣の代わりだと思って抱いてあげる。皐月は俺のこと、秋だと思ったらいいよ。」
呼んでもこなかったら、優衣にバラしちゃうから。優衣、聞いたら傷付くだろうね〜
俺のことを軽蔑した目で見て、強く唇を噛んだ皐月の顔は、今でも忘れられない。
その目が、口にしない感情をありありと語っていた。
これでまた、俺は優衣と別れられなくなった。



