私の目からは自然に涙が流れていた。 湊くんが私をびっくりしたような顔で見つめる。 私はすぅっと大きく息を吸い込むと、ギターの弦を鳴らした。 ギターを持ってきた理由。 それは昨日作った歌を、湊くんに聴いてもらうため。 湊くんのために湊くんだけの歌を、私は歌うよ。 吹奏楽部の演奏がとまり、甲子園が沈黙に包まれる。 湊くんに届けよう――。 この歌を。 私の、愛の歌を――……。