俺はゆっくりとふらつく足で、グラウンドに出た。 ここが、甲子園のマウンド……。 ここに立てる日が来るなんて思えなかった。 ここが、兄貴が立ちたくても立てなかった、夢のマウンド。 『代打……綾野くん』 アナウンスが鳴り響き、一層騒がしくなる応援団。 ツーアウト、満塁……。 ここで俺が失敗すれば、敗北が決定する。