休み時間、
私はふらふらと、
中庭側の窓に向かった。

いつも、そこから、
T先輩の教室が見える。

T先輩は、たまたま窓際の席で、
私がその窓の縁に座ると、
T先輩は、じゃんけんしたりして、
中庭ごしにコミュニケーションをはかる……のだが……。

それが日課になっていた私は、
何も考えていなかった……。

T先輩がいた!
目があった……。

「ぴろちゃん、今日はやめなよ!」

Mちゃん!?

あ!!

女子の連中が、
集まってきた!

「やだ〜!!
ぴろちゃんったら〜!!」

皆で私を押した!
女子の連中は、
ちょっと押しただけだけど、
数が多いから、
落ちる〜!!

私は必死に窓枠にしがみついた!

「T先輩、
助けに来るかな?」

皆は、トレンディドラマの見すぎだったと思う。

ヒロインのピンチに、
彼が助けに来ると、
いう展開を期待していた!

「やめて!!
ぴろちゃんが落ちちゃう!!」

EちゃんとMちゃんが、
叫んだ。

T先輩は、来なかった。

予鈴が鳴った。

私は、大泣きしていた。

「先生が来た!」

皆、教室に逃げた。

「ぴろちゃん、
教室に戻ろ!!」

「どうしたんだ?」

「……。」

先生に何も答えずに、
EちゃんとMちゃんに、
支えられて、
私は、教室に向かった……。

怖かった……。

もう、あの窓で、
T先輩を
見てはいけない……。