そして、T先輩は、芝生に横になるときに、
私の背中に腕をまわして、

仰向けのT先輩の上に、
私が腹ばいで乗る形に引き倒された!?

T先輩の鼓動が伝わる……。

さっきよりドキドキが早く脈打っている……。

厚い胸の中にぎゅうっと抱きしめられ、
私もドキドキになった!

どうしよう〜!!

私は、少女漫画では、
キスで終わるラストの続きを
知らなかった!


それだけ幼かった。


T先輩は、
健康な男子が、
目の前にご馳走が並べられていたら、
普通に食べたくなるように、
彼女がいようが、
モテるので、

味見しちゃったのだと思う。

T先輩は、
私がC先輩の事を知らないと思っていたから、
知らない間に、
両天秤をはかってみて、
バレたらどうするつもりだったのだろう?

結局、C先輩の事を聞けないまま、

T先輩の鼓動の速さには、
嘘はないと思っていた。

でも、この先、
何をされるか分からないなりにも、
これ以上、
身体を許してはいけないと感じた。

「そろそろ、
帰らなきゃ……。」

「ん?
そうか?」

立ち上がって、
服に付いた芝生を払う。
ブラウスのボタンが、
1つ外れていた。

「やだ、開いてる!!」

私は、前あきの胸元近くのボタンをとめた。

「俺じゃあねぇーぜ!」
流石にそこまで手を出していないとばかりに、
T先輩はあわてた!

このブラウスは、実はボタンが外れやすい!!

「行こうか!」

と言いながらも、
再びキスをした。

空き缶を手に持ち、
T先輩が腕を組もうとばかりに左腕を曲げて促しているので、
私は、その腕に右手を回した。

T先輩からすると、
こうぴったりしがみつけばつくほど、
私の右胸が、腕に当たるから、
その感触を楽しんでいたのだった!

そうとは知らずに、
私はいた。

再び歩いて、
学区の近くまで来たので、
私たちは離れて歩き出した。

T先輩のたくましい腕に、
ずっとつかまっていると、
お父さんに甘えているような安心感があったので、
離れがたかったけど、
T先輩は、
人目を気にしていた。

そういった努力は、
むなしかったと、
後で思い知ることになるとは、
この時の二人には、
わからなかった……。